2008年11月08日

ABO不適合輸血時の治療指針

即時型不適合輸血が疑われる場合の対処

最初の処置
1. 輸血を中止
2. エラスタ針は残したまま接続部で輸液セットを新しいセットに交換
3. 乳酸リンゲル液をつなぎ、最速で点滴
4. 導尿
5. 10mlヘパリン採血を行い、血液型を再検

治療
1)腎不全への対処
即時的対応、乏尿期の対応、利尿期の対応の3段階に分かれる。
1) 即時的対応:
早期であれば乳酸リンゲル液3lを2時間程度で急速投与して利尿を図る。
血管内溶血の存在が明らかになった場合には直ちに、腎血流を維持するための処置を行う。
 a) 循環血液量の是正
 b) ドパミンの投与(3〜5μg/kg/min)
 c) 利尿剤の投与(Frusemide 250mgを4時間以上かけてDIV)
  1ml/kg/hr以上の尿量を確保する。

2) 乏尿期の対応
A) 集中治療室を持たない病院での対応
1) 肺水腫の予防:水制限 尿量+不感蒸泄量(約500ml/day)
2) 高カリウム血症の予防:
 1. 24時間心電図モニター
 2. 血清カリウム値測定(4時間ごと)6mEq/Lを超えれば直ちにGIK療法開始(糖液は50%を用いる)   

 3. 不整脈が見られる場合、緊急の対応として10%塩化カルシウム10〜20mlをIV
 4. 糖液中心の高カロリー輸液を行う。(catabolismによる組織細胞からのカリウム排泄増加の予防)
 5. 代謝性アシドーシスの補正として、重炭酸ナトリウムの投与はできるだけ避ける
  (ナトリウム過剰負荷や、炭酸ガスの過剰産生を起こさないため)
 6. BUN,Creatinineは毎日測定する
 7. 腎臓内科医のコンサルトを依頼する
血液透析の適応*
1.高カリウム血症7mEq/Lを超える場合
2.人工呼吸を必要とする肺水腫
3.BUN上昇が30〜50mmol/L(180〜250mg/dl)を超える時、またはCreatinineの上昇が0.7〜1.5mmol/L(7.9〜17.0mg/dl)を超えるとき。あるいは動脈血ガス分析で重炭酸値が12mmol/L以下の時。
4.尿毒症による意識障害

(*: PL. Mollison [Blood Transfusion in Clinical Medicine 9th Ed. pp512]より)

この英国基準はやや厳格すぎる。我が国ではBUN 120mg/dl以上、Creatinine 6.0mg/dl以上、HCO3- 15mmol/L以下で透析を開始して良いと思われる。

B) 集中治療室を持つ病院での対応
即時型不適合輸血と診断されれば、直ちに集中治療室に収容、乏尿と判断されれば持続血液濾過透析(CVVHD)を行い、腎機能が十分に回復するまで厳重な体液管理を行う。



3) 利尿期の対応
水分のみならず、電解質も補充する。尿中排泄電解質量を毎日測定して輸液メニューを作成する。
食事中の蛋白質はBUNが20mg/dL以下になるまで制限する。

1)DICへの対処
出血傾向の制御
 1. 血漿・血小板を投与し、凝固系を補正し、循環血液量を維持する。
 2. 赤血球輸血は適合であることが確認できるまで行わない。
 3. どうしても必要な場合、O型血を輸血する。

薬剤によるDICコントロールには確立された治療法はない。明らかな出血傾向に対して、
文献的には
ヘパリン5000単位IV、以後1500単位/時で6〜24時間持続投与(DIV)
しかし、ヘパリンは分娩後出血のように出血創面が大きな場合は、出血傾向を助長させるおそれがある。

現在ではほとんどの場合
FOY1000〜2000mg/日、DIVが実施される。しかし、効果と費用の面で問題がある。

いずれにしても、死亡原因となる出血、肺水腫、高カリウム血症、腎不全に対して対症的に適切な処置を行い、腎機能が回復するまでの間、生命維持を行えば長くとも3週間で回復する。

以下の薬剤は高価なばかりで治療効果が明らかでない。
ステロイド大量投与
ハプトグロビン投与
FOYなどのプロテアーゼ・インヒビター投与
AT-III製剤投与
血漿交換・交換輸血


日本輸血学会より治療指針をいただいてきました


万が一不適合輸血をした場合に

焦らずに上記の対応を試みようと…
posted by ヨン at 06:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 血液

2008年12月26日

血液製剤投与、2病院で3人 「記録なし」調べ直し判明

生労働省は26日、国立病院機構青森病院で2人、
同福岡病院で1人の患者に、
C型肝炎に感染する危険がある血液製剤を投与していたことが判明したと発表した。
いずれも昨秋、同省の調べに対し、
「カルテなどの記録は保管していない」と回答していた。
厚労省は記録がないと答えた同機構の46病院に職員を派遣して調べ直した。

46病院のうち43病院で診療記録などが見つかった。
さらに、メーカーの納入記録と照合するなどした結果、
両病院での投与が分かった。
青森の2人には連絡したが、福岡の1人は所在が分からないという。

厚労省血液対策課は「さらに調べれば記録が出てくる可能性もある。
国立病院以外も改めて自主的に調査を徹底してもらう」としている。

厚労省は昨年11月、
メーカーに血液製剤の納入記録のある約6600の医療機関を対象に、
感染の危険性がある製剤が使われていた94年以前のカルテの保管状況を調査。
半数以上の医療機関が「保管していない」と回答したため、
被害者らから調査の徹底を求める声が上がっていた。



2008年12月26日21時14分


記録をすべて保管しているというのは

現実不可能だと思うけれども

このニュース記事は

94年以前の輸血の話に関して述べているのでしょうが…



しかし、真面目に調べていこうとする姿勢はいいですね


実際には、それ以前のデータも発見することができたのですから


診療記録は過去5年間の診療録並びに過去3年間の手術記録、看護記録等の保管義務があるのだけれども

それ以前の保管は一応、義務はない


ほとんどの病院でできる限り保管はしているのだけれども…

それだけでも

ものすごい膨大な量のカルテになる


保管するだけで膨大な費用が必要になる


だからこその電子カルテ化なんだろうけどさ

まだまだ問題はありそうだけれども

まあ、必要な流れなのかもしれません
posted by ヨン at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 血液

2011年12月11日

献血アルブミン推定上昇予測値

@体内の循環血漿量を計算する
 40ml/kg×体重
A投与したAlb量を@で割る
B投与したAlbのうち、4割が体内に残存すると言われているので
 A×0.4
この値のだけ上昇するはずです

posted by ヨン at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 血液