2008年11月15日

皮膚感染症

◆症状 : 皮膚の発赤、腫脹、疼痛
◆起因菌 : 溶連菌または黄色ブドウ球菌が多い。
◆皮膚科callのポイント :
         半肢を越える、又は拡大傾向、又は 38°C以上、又は、全身症状のある(あった)とき。
入院が必要そうなとき。
壊死性筋膜炎、ガス壊疽が疑われるとき。

◆callの前にすること :
         @皮疹(発赤)の周囲をマジックでマークしておく。
A CBC、血液生化学(CRP、CPKも)を緊急で、血培も。
   ルート確保(ヴィーンFなど)。

B 患部のX線写真。

◆鑑別のポイント :
1、 丹毒 : 浅在性。真皮レベルまで。
2、 蜂窩織炎 : 皮下脂肪組織まで。
3、 皮下膿瘍 : 皮下脂肪組織において膿貯留。
波動を触れる。穿刺・吸引→培養(嫌気性も)を。
場合によっては切開、排膿、イソジンドレーンなど。
4、 壊死性筋膜炎 : 筋膜にそって波及する。
見た目よりも疼痛強い。表面に水疱、紫色調の変化あればより確実。
抗生剤大量投与、切開排膿が必要。緊急手術のことも。
死亡例あることを認識。
5、 ガス壊疽 : 握雪感(腫れたところを圧するとブシュブシュと、水を含んだスポンジをしぼるような感じ)。患部のX線で皮下にガス像。
切開するととても臭い。嫌気性培養も。
クロストリジウム性、非クロストリジウム性で予後異なる。
これも死亡例あり。


◆治療 :
1、 局所処置 : 傷があればイソジン消毒。
丹毒、蜂窩織炎ならアクリノール湿布(顔はタオルなどで冷却)。
皮下膿瘍は、迷ったらcallを。
壊死性筋膜炎、ガス壊疽は切開せずにcallを。
2、 抗生剤 : ロセフィン 1gなど。
ABPC大量投与でないと無効なこともあり、迷ったらcallを。
3、 指導 : 丹毒、蜂窩織炎、皮下膿瘍は入院の適応を含め、皮膚科callを。
外来で可能な場合は翌日皮膚科受診を。
壊死性筋膜炎、ガス壊疽は、即入院。緊急手術に備え、心電図、胸部X線、凝固系、血液型の検査を。


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顔面外傷

見た目は派手だが、顔面外傷そのもので致命的なことはまれ。気道確保や出血のコントロールのほか、脳神経外科的損傷や胸腹部の合併損傷に対する救急蘇生処置が優先する。
顔面外傷の初期治療


1) 気道確保
    経口・経鼻挿管、気管切開


2) 出血のコントロール
・ 静脈性の出血
1―2%キシロカインE(エピネフリン含有)局麻後、圧迫や創 の縫合でほとんど止血可能。
・ 動脈性出血
局麻後電気メスまたは血管周囲の縫合。顔面神経と耳下腺の導管に注意。
・ 鼻腔内や口腔内の深部かつ部位不明の出血
ボスミンガーゼの口腔内・鼻腔内パッキング、ベロックのタンポンなど。
・ 上下顎骨骨折部からの持続性大量出血
緊急整復が必要なため、歯科口腔外科へ。

3) ショック対策
4) 合併損傷の検索
5) 顔面外傷の診断と治療方針
上記がコントロールされたら検査・評価を進める。

顔面外傷の診断と治療方針


1. 専門医に相談・転送すべき場合
1) 脳・頚椎・眼の損傷を伴う場合
   特に至急眼科に相談すべきもの:
    眼瞼裂傷・涙器損傷・視神経障害・強角膜損傷・眼球破裂・穿孔性眼外傷
2) 美容上問題になると思われるとき
3) 骨折部位から大量出血が持続するとき

2. 骨折の有無確認
 顔面骨折の整復は最長2週間以内に行えば良いので、出血や気道閉塞がなければ救急処置として考える必要はない。多発顔面骨折や小児の場合は整復が困難になるので、比較的早く整復する。
1) 眼窩上方・側方・下縁、頬骨部・頬骨弓・鼻骨・上顎骨・下顎骨を触診し、非対称性・圧痛あれば骨折を疑う。要するに顔の出っ張りを必ず左右同じ場所触りまくればよい。
2) 受傷前と後の咬み合わせが変化していないか尋ね、あれば上顎骨・下顎骨骨折の可能性大。偏位のある下顎骨骨折では、咬み動作をさせると骨折部が動き、部位がはっきりわかることがある。
3) 眼球運動の異常や複視
眼窩吹き抜け骨折や多発顔面骨折で眼窩内に骨折があると上記症状が起こる。
4) X−P(うまく写らないことも多い)
顔面正面・側方とWaters。正面・側方は眼窩、頬骨、上顎骨など中顔面を見るには全く役に立たないためWatersが必須。
5) CT
X−Pでの読影は慣れないと困難なことが多いが、CTは診断が容易。特に眼窩付近や多発顔面骨折の際に有用。



3. 創傷の処置
1) 消毒
生食をかけながら歯ブラシで洗う。異物を残すと、外傷性刺青(治療困難!)や感染源となるため細かいものでもピンセットで丹念に取り除く。眉毛は顔のlandmarkとして重要なので、剃毛は行わないこと!
2) 麻酔
顔面、口腔内は血行が良いため、止血を兼ねて局麻は1―2%キシロカインE(エピネフリン含有)で。

3) 顔面の縫合は5−0のナイロンで行う。小児、若い女性はできれば6−0。抜糸は4−5日で行う。美容上問題になりそうなときは軽く創を寄せる程度にして専門医へ。口腔内は4−0か3−0ナイロンで十分。
 cf)形成的三層縫合
  筋層縫合:3-0バイクリル
  真皮縫合:4-0白ナイロン
  表皮縫合:6-0青ナイロン
4) 頬部の深い創では耳下腺管、顔面神経の走行に注意。電気メスで焼き過ぎると神経麻痺の原因となる。


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2008年11月22日

四肢切断について

1.指尖部切断の治療
指尖部の切断(爪を含む部分)の場合は再接着は不可能であり次の断端形成を行う。
断端形成術
 腱鞘内麻酔(皮下注)による指ブロック後、創の洗浄、デブリーマン、消毒後、皮弁で断端を覆う。末節骨が露出し皮弁で覆えない場合が多く、その場合は皮弁で断端を覆える長さまでリュエルで骨を削り短縮する。断端が皮弁で覆えれば治りが早いが、欠点として指が短縮してしまう。指の短縮を防ぐには次のアルミホイル被覆療法を行う。
アルミホイル被覆療法
指尖部の開放性の損傷に対してまず腱鞘内麻酔(皮下注)を行う。創の洗浄、デブリーマン、消毒、止血を行い、末節骨もデブリーマンのみにとどめる。断端は覆わずopen のままとしソフラチュールをあてガーゼで被覆する。後日、感染兆候がないことを確認し、断端部にゲンタマイシン軟膏を塗布し、あらかじめ滅菌していおたアルミニウムで被覆する。その上からガーゼで覆う。以後上皮化するまで週に1回、オスバン浴し再被覆を繰り返す。週1回しか創を開かないため断端からの肉芽の形成を妨げることなく上皮化しやすい。また骨が露出していても肉芽でカバーされる。但し、この治療法の欠点は悪臭を伴うことで、時に耐え難い臭いを放つため患者が「腐っているのでは」と心配することがあるが、自信を持って治療を続行する必要がある。
2.手指、四肢の切断
 再接着の適応は上腕、肘、前腕部ではclean cut に近い切断であり、小児切断、母指の切断はいかなる切断にも適応がある。それ以外では挫滅の程度、部位、患者の全身状態等によって決められるが、患者側の希望を重視すべきである。尚、患者が健常であれば年齢制限はない。
 患者が再接着を希望する場合は整形外科医に連絡する。完全切断の場合は切断端を次の方法で保存する。
切断端の保存方法
 断端を洗浄し生食で湿らせたガーゼで包む。それをビニールに包み、口はしっかり縛っておく。氷を浮かべた水の中にそれを保存する。凍結するとダメなので直接氷にはつけないようにする。


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創処置の基本

(1)切創、裂創、剥離創などに対して創縫合を行う
(傷とは一般に縫合の不必要なもの。創は必要なもの。言葉の使用を区別して)
注意しなければならないことは以下のとおり

* 汚染組織や挫滅組織を残さないこと…デブリードメント。

* 死腔を残さないこと…残る場合はペンロースドレーンをおいてくること。

* 創面を合わせる…表に出るきずでは皮下埋没縫合をおきサージカルテープで固定を(埋没では白色ナイロン糸を使用、黒色ナイロン糸では皮下に透けてみえる)。その他のきずは出来るだけマットレス縫合を。

* 異物を残さない…金属片、ガラス片ではX線写真を。木片や動物の棘などは術野をクリーンにして根気よく探すこと。

(2) 縫合してはならない創

* すでに感染をおこしている創…膿汁、膿苔を認めるもの(8時間以上経過している場合が多い)

* 高度の筋肉挫滅を伴うもの

* 刺創、動物咬創など創部汚染の除去困難なもの。
これらの創では縫合により嫌気性菌感染のおそれ。また、感染創では縫合しても創傷治癒は望めない。


(3) 創洗浄
とくに汚染創での洗浄の意義は大きい。

* まず、水道で流水による洗浄を。油汚染は石けん水を使用する。その後、局所麻酔剤
(成人極量 0.5%キシロカインで100ml)を創面から皮下に。


* 生理食塩水による洗浄を。ブラシを使用。創が小さければ歯ブラシを使用。

* ヒビテンによる消毒を行う。ここでイソジンを使うと着色のため異物確認が出来ない。

* オキシドールは消毒効果は期待できないが、微小異物(砂、粉、ガラス片など)を浮き上がらせてくれる。再度生食により洗浄を。


* 縫合可能と判断したらイソジン消毒を。

* コンクリートなどによる擦過傷の洗浄の際の麻酔はキシロカインスプレーの利用も便利。


(4) その他

* 使用する針は
   皮膚 … 角針
   皮下、粘膜 … 丸針


* 使用する糸は一般に絹糸。ただし、表面にでる部位はナイロン糸、とくに顔面では5―0、4−0ナイロン糸を。


(5) 一般的注意

* 外科病棟当直医に応援依頼するのに遠慮は無用。ただし、来てもらったらそのやり方をしっかり見ておくこと。洗浄方法や縫合の仕方ばど見なくては分からないことも多い。


* 自分が縫合した創の行く末はできる限り自分の目で確認を。翌日、外来の主治医を確認し、尋ねてみること。結果を見なくては向上もない。

posted by ヨン at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 皮膚・形成