2008年12月06日

末期がんの女医が贈る患者へのメッセージ

21年前に乳がんの全摘手術を受け、再発、再々発、全身転移し、
現在も治療を続けている小倉恒子さん(小倉耳鼻咽喉科医院副院長)が12月5日、
乳がんの女医が贈る乳がんが再発した人の明るい処方箋
」(主婦の友社)を出版した。
病状は悪化し続けているが、
現在も週1回の抗がん剤治療を受けながら、
耳鼻咽喉科医としてフルタイムで働いている。
自分や家族が「がん」と宣告されたとき、
再発したとき、全身転移したとき、
どう向き合えばいいのか―。
小倉さんに聞いた。



■内にこもらないで

抗がん剤治療を続けているがん患者の中には、
「化粧する気力もない」
「外に出たくない」
と内にこもってしまう人も少なくありません。
同書では特に女性のがん患者に向けて、
わたしのメイク術を公開しています。
わたしは約8年間、抗がん剤を打ち続けて、髪の毛、まつげ、まゆ毛が抜け、皮膚には色素が沈着しています。
しかし、メイクとウィッグで別人になることができます。
今では自分が抗がん剤を打ち続けていることを伝えても、
信じてもらえないことが多いほどです。
本当は色素沈着している素顔の写真は出したくなかったのですが、
皆さんに
「末期がんでもこんなに元気なんですよ」
というメッセージを伝えるために、思い切って公開しました。
がんだからといって内にこもらず、
明るい気分になってどんどん出掛けてほしいですね。


■患者同士つるんでスピリチュアル・ペインを軽減

病気が長引いてくると、
「わたしだけがなぜこんなに苦しまなければならないのか」と、
精神的な苦痛を強く感じることがあります。
また、死を自覚しなければならないような病状になった場合や、
他人のお世話にならなければ生きていけなくなった場合、
自分の存在価値・存在意義に疑問が生じることもあります。
こうした目に見えない苦痛は
「スピリチュアル・ペイン」と呼ばれ、
それなりの対策が必要とされています。
スピリチュアル・ペインを克服して明るく生きていくためには、
孤立せず、患者同士で「つるむ」ことが大切です。
最近では各地でがん患者を対象にした集会やイベントが開かれているので、
積極的に参加されることをお勧めします。
がんになったことがきっかけで、
仕事を辞める人も少なくありませんが、
「自分は病気には負けてない」と強く意識して、職場への復帰を目指してほしいですね。

■精神的にタフになって

早期発見できなかった人、
再発や再々発してしまった人、
全身転移してしまった人でも、
夢と目標を持ってがんと共存しながら、
強く生きてもらいたい。
長い闘病生活を送ることになったとしても、
自分の目標に到達する努力は続けてほしい。
そして、人生を終える時も、「いい人生を送ることができた」と思えるような、そんな生き方をしてほしい。
わたしはこれまで21年間、がんと闘ってきましたが、
臨床的に見ると、どんどん悪くなっています。
「がんに効く」といわれている民間療法や薬は何でも試し、
選択肢がどんどん少なくなっています。
嘔吐、脱毛などの副作用にも苦しみながら8年間、
何種類もの抗がん剤を打ちましたが、
同じ抗がん剤の使用を続けると、
耐性ができて効かなくなってしまいます。
国内で承認されているもので、
わたしの体に効果が期待できる抗がん剤は、あと2つしか残っていません。
がんの再発、再々発、全身転移を経ていくにつれて、
目の前の道はどんどん細くなり、暗くなっていくばかりでした。
同じような境遇の人はたくさんいると思いますが、
わたしが皆さんの一歩前を歩き、
暗くて細い道に少しでも光を照らしたい。
後に続く人たちに、少しでも希望を与えたい。
そんな思いを込めて、この本を書きました。
がん患者やその家族からよく
「治療の苦しみにどうやったら耐えられるのか」
と質問を受けますが、
同書ではわたしなりの「精神訓練法」「副作用などの苦しみを乗り越える方法」も書いています。
どんなにつらくても、決してあきらめないでほしい。
わたしが“生き見本”です。
がん患者でなくても、
挫折してしまった人、
精神的に弱っている人、
体調を崩している人にもぜひ読んでいただきたいと思っています。

■担当医と患者の信頼関係を

がん治療を続けていく上で、
担当医と患者間で信頼関係を構築することも大切だと思います。
最近ではインターネットなどにあらゆる情報がはんらんし、
患者もいろいろな知識を身に付けている。
しかし、「頭でっかち」になって、
担当医や医療機関を疑ってばかりでは、
ベストの治療を受けることはできませんし、
高い治療効果も望めません。
受け入れてくれる医療機関が全くない、
いわゆる「がん難民」という状態も、
患者が頑固な態度であったために起こるケースも少なくありません。
柔軟性を持って、
担当医の話を受け入れ、
信頼関係を築いていくという姿勢も大切です。
また、担当医には、
「患者の精神的苦痛と肉体的苦痛を一緒に背負う」
「患者に寄り添う」
という気持ちを持って医療に当たっていただきたいと思います。 

■「ドラッグ・ラグ」の解消を

「ドラッグ・ラグ」とは、
海外の医療現場で使用されている薬が、
日本国内で使用できない状況を言います。
例えば、ある種の抗がん剤の使用が日本以外の国では認められていて、
効果を発揮していても、
日本では厚生労働省の承認が下りていないため、
使用することができないケースが少なくありません。 
わたしは、現在もフルタイムで耳鼻咽喉科医の仕事を続けています。
休日は日曜のみで、金曜の午後は毎週抗がん剤治療。
病状は年々悪化していますが、
昨年はこの20年間で所得額も納税額も最も多かった。
末期がんのわたしでも遅刻もせず、
夏休みも取らずに働いて、一生懸命、税金を納めているのです。
納税者の一人として、
一刻も早くドラッグ・ラグが解消されることを望みます。
抗がん剤で延命するしかないがん患者は、
国内での承認が延び延びになっているうちに、
どんどん亡くなっていきます。
国民2人に1人ががんになる時代ですから、
政治家も役人も人ごとと思わないで、真剣に考えてほしい。
予防に力を入れるのも大切ですが、
末期がん患者を見捨てないでください。



【著者紹介】
小倉恒子(おぐら・つねこ)さん
 21年前(1987年)に乳がんが発病し、全摘手術を受けた。その後、2000年に再発、05年に再々発、07年に全身転移。病状は悪化し続けているが、現在も週1回の抗がん剤治療を続けながら、耳鼻咽喉科医としてフルタイムで働いている。
 著書には、「女医が乳がんになったとき」(ぶんか社文庫)、「怖がらないで生きようよ―がんと共生する医師のポジティブ・ライフ」(講談社)、「あなただって『がん』と一緒に生きられる」(KAWADE夢新書)、「WILL−眠り行く前に がんになった女医がわが子へ贈る愛のカセットテープ」(ブックマン社)などがある。
 12月7日に大阪市内で開かれる「アジア乳がん学会」では、「患者と医療者のパートナーシップ」という演題で講演する予定。


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更新:2008/12/05 22:54   キャリアブレイン


がん患者の気持ちを支えるのは難しいですね

よく、『共感』することが大切などと言いますが

完全に共感などできるわけがない


その苦しみは、それを経験しないとわからない


そんな中で、小倉先生の生の声は

多くの患者さんに訴えると思います
posted by ヨン at 09:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 外科

2009年01月12日

癌を転移させる遺伝子が見つかる

米国の研究者達は、死亡率の高い乳癌が転移し、化学療法への耐性を強める主要な役割をしている遺伝子の存在を報告した。

同研究者達によれば、高悪性度乳癌の患者のMTDHと呼ばれる遺伝子に異常変異が見つかり、その遺伝子を阻止する薬剤は局所腫瘍の転移を阻止して患者の生存率を高める可能性があるという。

「新しい転移遺伝子が確認されただけでなく、数種類ある同様の遺伝子の一つについて具体的な作用機構が解明されたことになる」とJournal Cancer Cell誌に同研究を発表したニュージャージー州立癌研究所のDr. Michael Reiss (ニューブルンスウイック)は述べた。

「これは転移を阻止する医薬の開発に大きなチャンスを与える」と同博士は続ける。

癌の転移を阻止するのは重要だ。転移前の乳癌患者の98%以上が5年生存できるのに対して、他の臓器に転移した後の癌患者の5年生存率はわずか27%だからだ。

Dr. Michael Reiss とプリンストン大学の Dr. Yibin Kangは、腫瘍細胞が離れた場所にある臓器血管に付着するのを助ける遺伝子を探すのに複数の異なる研究手法を用いた。

異なるアプローチを正しく全体領域に収めるために、乳腺腫瘍の大規模なコンピュータデータベースを使った結果、ヒト染色体8番の小さなセグメントが高悪性度乳腺腫瘍の患者では何度も重複しているのが見つかった。

正常なDNAシーケンスの大多数が遺伝子のコピーを2個だけ持つのに対して、乳腺腫瘍の一部にはこの遺伝子セグメントのコピーを8個も持つものがあった。

このため、同研究チームは250人の患者から採取したヒト乳腺腫瘍のサンプルを調べて、同様の遺伝子変異を探した結果、遺伝子MTDHが高悪性度の腫瘍で高発現していることが分かった。


すべての細胞に存在する

Dr. Kangは電話インタービューに答えて「この遺伝子は私たちの細胞の一つ一つに有り」、「腫瘍はなんらの方法で、余剰コピーを獲得して過剰発現するようだ」と語った。

「私達はこのコピーの30から40%がこの遺伝子を高発現させたのを確認した。」

そのため、同研究者達は、この遺伝子変異を持つ患者の腫瘍細胞をマウスに注射したところ、マウスに転移しやすい腫瘍が形成された。

形成された腫瘍はpaclitaxelなどの従来の科学療法の薬剤に対し耐性が出来易くなった。

これに対し、研究者達がMTDH遺伝子を阻止しながら、これらの腫瘍を遺伝子的に変異させると、腫瘍細胞は転移しにくくなり、化学療法の効果を受け易くなった。

Dr. Kangは、この発見により乳癌の転移を阻止する薬剤の開発が進むだけでなく、癌治療の効果も上がることを期待していると語り、

「このタイプの遺伝子を阻止する医薬があれば、一石二鳥の効果がある」と述べた。さらに前立腺癌を含む他のタイプの癌にもMTDHが関与している可能性があることから「影響力の大きい遺伝子である可能性がある」と同博士は述べた。

Dr. Kangはさらに、この遺伝子活動を中和する抗体を開発することも可能だと思うと語った。

同研究者達の発見はすでに製薬会社の関心を集めている。Dr.Kangは、来週中にもJohnson & Johnson社に会う予定だという。

「早急に薬を開発する試みについてはきわめて楽観的だ」とDr. Kangは話を結んだ。


2009年1月6日(Reuters Health)


ほ〜なんと、癌が転移することすら遺伝子が関与していたのですね


なるほど

勉強になります



今後、この研究がどのような方向性をもって進んでいくのでしょうか

見物ですね
posted by ヨン at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 外科

2009年02月11日

日本人研究者、がん抑制酵素を同定

日本人研究者が乳がんを抑制するとみられる酵素を同定した。同知見がきっかけとなり、世界で2番目に多いといわれる乳がんの新治療開拓が望まれる。

注目酵素は、CHIP。
専門家によると、多数あるがん発生要因タンパク質の性質を弱めることで、CHIPには、がん細胞の成長を抑える能力があるという。CHIPは、人間の乳房組織にて産生される。

医学誌「Nature Cell Biology」に掲載された今回の論文によると、研究者はマウスに2種のヒト乳がん細胞を注入し、1匹のマウスは、CHIP酵素を持ち、もう1匹は同酵素無し。

CHIP酵素持ちのマウスのがん細胞は、酵素無しのマウスの細胞に比べ、極めて小さかった、と Dr. 筑波大学 生命環境科学研究科のJunn Yanagisawa 氏は述べている。

さらに、 Yanagisawa 氏は、高悪性度なヒト乳がん細胞を使った並行実験からも、同様な知見が得られたと語る。

「CHIPタンパク質が、乳がん細胞成長と転移を阻止することが確認された」と同氏は結論している。

さらに、同氏は、「乳がん治療では、CHIPタンパク質レベルの測定が治療のための重要な情報。CHIPタンパク質レベルまたは活動を増大させる新治療をデザインすることは有効である」、とも語る。

乳がんは、肺がんに次ぎ、2番目に多いがん。2005年には502,000人が乳がんで死亡している。これは、全死亡の1%にあたる。


2009年2月9日(Reuters Health)


すごいですね

これが治療に関わるようになれば

乳癌の治療が激変するかもしれません


化学療法室で毎週治療をされている方々に

新たなる希望を示せるのかもしれません


posted by ヨン at 15:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 外科